「まずは、君がどうやってここに来たのか調べよう。もしトラベラーが違法に関与していれば、君はすぐにでも戻してもらえるはずだ」



お爺さんはカップを手に背で戸を押して開く。


「君のデータを探してくるよ。名前を聞いてもいいかい?」



「守田衣奈です」と答えると、お爺さんは「わかった。紅茶でいいかな?」とブースを出て行った。





未来に来て数時間。



こんなにも早く2012年に戻る方法が見つかるなんて、私は運がいいのだろうか、なんて気楽なことを考えていた。



けれど、いざ戻ることを考えると、今度は新たな不安に襲われる。


私は未来を知ってしまったのだ。


2012年以降どんなことが起こり、何が生まれるのか。


その細かな方法までは知らずとも、戻れば、私個人の未来を変えることは可能だろう。



例えば私が今後の戦争で死んでいたとしても、私はここに来たことで、2012年以降生き残る術を探すことだってできるのだ。



過去の人間の未来を変えることは、この世界で違法にはならないのだろうか。


もしそうだとすれば、お爺さんに危害が及ぶ可能性だってある。