「そうか。いや、実は過去から来た人間の話を聞いたことがあるんだけどね。その人たちは皆マシンについての記憶があったらしいんだ。けれど、君にその記憶がないとなると…故意に、連れてこられた可能性が…」



「故意にって…だって私、ただのフリーターで、そんな未来に影響を与えるようなすごいこととか何もしてないですし…わざわざそんな人間を連れてくる理由って」



「それがあるんだ。さっきの話の続きになるんだけど。HRPバンクの記憶を、ヒューマノイドに転送して、死んだ人をロボットとして蘇らせるという事態が起きて一時大きな混乱を招いたんだ。だからそれを法律で禁止したんだが、それ以降、過去から自分の大切な人を連れてくる人が出てきたりしてね」



「じゃあ、誰かが、私を過去から?」



「充分に考えられるよ」


そこまで言うとお爺さんは額を手のひらで覆い深い溜息をついた。


「あの、どうかしたんですか?」


お爺さんは眉間のしわを伸ばしながら顔を上げ、今度は両手で顔を覆った。