街並みが色づいてゆく。
何もない街にひとつ、またひとつと明りが灯され、人々の観悦の声が再生された。
これまで見たことのある風景と変わらない街並みが映し出される。
それは、多くの人々の力で蘇ったかけがえのない未来の景色。
当たり前にあったものを愛おしく感じ、また、そこに映し出された人々を深く慕った。
「そして2030年を過ぎた頃。ある国で所謂、タイムマシンが発明された。50年前後の過去と未来へ移動することが可能となり、トラベラーに任命された人々は過去に戻り過去に失ったものを自分たちの世界へ持ち運ぶことで多くを再生させた」
「タイムマシン?」
「皆そう呼んでる。とてもじゃないけど、正式名称は長くて…。当時の皆の反応はそれはそれは大きなものだった。日本に導入されたのは2034年の暮れだった。新たな法律も生まれたよ」
「じゃあ、今でもあるんですか!?その―」
お爺さんは「まあまあ」と猫なで声で私を宥めるように隣に座らせる。
「そして2039年、HRPBANKが誕生した。個人情報からその人の記憶、思い出、DNAなどをチップに遺すことができるとても便利なものだ。誕生以来、現在でも記憶の収集は行われている。まあ、役所の人間の仕事なんだけど、とても人気が高い職業だよ。その安全性が認められてからはもうずっと、なりたい職業連続ナンバー1だ」


