中学を卒業した梓を追うような形でなんとか梓と同じ高校に入学した私は、それから短かった髪を伸ばした。



唯一の自慢を活かす道を棄て、運動部にも入部しなかった。



それから生まれて初めて、ワンピースを着た。


日焼けの残る肌。
自分でも違和感があって、似合わないなぁなんて鏡を見ていた。




すると私の背後でくすりと聞こえて顔を上げると、鏡越しにいる梓がいる。



「似合わない」



私はあの日泣いたけど、ワンピースが似合わないと言われて泣いたんじゃない。




冗談っぽく笑っていた梓の笑顔が嬉しかった。





私の涙を初めて見た梓はとても慌てていたけど、私はいつものように大丈夫とさえ言えなかった。





きっと今でも、梓は勘違いしているだろう。






あの日、私を泣かせてしまったと。