☆消えてしまったわたしの赤ちゃん☆14歳の妊娠・・・ ~セックスを軽く考えないで~

でも克之くんは、わたしがみじめだから、付き合ってくれてるだけだよ・・・。

それに・・・、克之くんは美里をいじめ始めたのが、わたしだってことを知らない。


もしそのことを知ったら・・・、わたしは克之くんに捨てられると思う・・・。

捨てられるのが怖くて・・・、わたし、言えなくて・・・。克之くんなしじゃ、わたし、生きていけないから・・・。」



利栄子の話が本当のことだということは、彼女の目を見れば分かった


かつての利栄子に感じられた傲慢なまでの力強さは、もはやない。


今の利栄子にとって、かっちゃんだけが生きていく希望の光なのだということが、わたしには分かった。



「美里、ほんとにごめんね・・・。」


利栄子はわたしに、深く頭を下げた。


「あんなことして、ごめんなさい・・・。美里のこと、あんなふうに、みんなに言いふらしたりしてごめんなさい・・・。

美里の赤ちゃんにまでひどいことして、ごめんなさい・・・。本当にごめんなさい・・・。

謝っても許してもらえるとは思ってないけど・・・。でもわたしにはただ謝ることしかできないから・・・。」



あれほどまでに、わたしの心に煮えたぎっていた利栄子に対する激しい怒りは、驚くほど小さくしぼんでいた。


ついさっきまでは、利栄子を突き飛ばしてやりたいと思った。


ののしってやりたい気分だった。


でも今は・・・、利栄子のことがただかわいそうに思えた。



かつて、いじめた側といじめられた側。


あのとき、わたしたちの立場は大きく違っていた。


でも今のわたしたちは、一人の人間として、向き合っている。


そして失った赤ちゃんへの想いは、二人とも同じだということを、わたしは感じていた。