「ごめんなさい。」


わたしは謝った。


「ごめんなさい。」


ぶつかった相手の声もした。



その声は、わたしには聞き覚えがあった。


わたしは声の主のほうを見た。


目と目が合う。


そこにいたのは、利栄子だった。



わたしは利栄子を無視して、駐輪場に向かおうとした。


「待って。」


利栄子はそうさけび、わたしの腕をつかんだ。


「何なの?はなしてよ。」


わたしは利栄子の手を振り払おうとした。


「どうしても美里に話したいことがあるの。」


利栄子は言った。


「今さら、何を話すっていうの?」


わたしは利栄子をにらみつけた。