「うん、いるよ。」


わたしは正直に答えた。


「親友のお兄さんで、医大生なの。優しくて、思いやりのある人だよ。わたしのこと、大切に思ってくれてるの。」


「そうなの。じゃあ、今度家に連れてきて、紹介してね。」


「えっ・・・、でもお父さんが・・・。」


「お父さんが家にいないときにね。」


お母さんはそう付け加えた。


「うん。」


わたしはうなずいた。


「ねぇ、美里、」


お母さんが急に真面目な顔になった。


「美里は分かってると思うけど・・・、もし今後、付き合ってる人とそういうふうになりそうなときには・・・、妊娠とか、避妊のこととか、ちゃんと考えてね・・・。

自分の体を、大切にするのよ。お母さんも知ってることは、教えられるし。」


「うん、分かってる。」


わたしはお母さんにうなずいた。




わたしは紫のチューリップを活けた花瓶を、わたしの部屋の机の上に飾った。


両親からもらった今年の誕生日プレゼントは、アラン模様のカーディガンだった。


わたしはカーディガンを衣装ダンスにしまい、梓からもらったバッグを他のバッグと一緒にしまった。


髪飾りと剛からもらったイヤリングとネックレスは、そのままつけておいた。