「ううん、知らない。でもきっと、超ラブラブな花言葉に違いないよ。」


それから梓はにやりとして、こうささやいた。


「きのう、お兄ちゃんと一緒に寝たんでしょ?もしかして・・・?」


「まだしてないよ!」


わたしは慌てて首を振った。


「わたしが18になる前までは、やめとこうって、二人で決めてるから。」


「ふーん、そうなんだ。じゃあ、来年のクリスマスイブは、二人きりにさせてあげるね!美里、18になるし。」


「えっ・・・、別に、気使わなくていいよ!梓も一緒にいたほうが楽しいし。」


「遠慮しなくていいから。来年のクリスマスイブは、美里とお兄ちゃんの二人きりで過ごしたらいいよ。たまには、わたしにも気を使わせてね!」


梓はそう言って、にっこりした。




三人で朝ごはんを食べ、きのうのあとかたづけを終えると、わたしは剛とまた会う約束をし、梓と一緒に剛のアパートを出た。


道路の途中で梓と別れ、家まで帰り着くと、わたしはプレゼントと花束を持って家の中に入った。


「あら、今年は紫のチューリップもらったのね。」


お母さんは花束を見るなり言った。


「もしかして美里、付き合ってる人がいるの?」


「えっ・・・。」


お母さんには、剛のことは話していない。


なんとなく、これまで話さずにいたのだった。


でも剛のことを隠す理由もない。


それに剛はちゃんとした人だ。


お父さんは頭が固いからどうか分からないけど、お母さんならきっと、付き合うことを反対しないだろう。