梓はわたしが赤ちゃんを中絶したことを知らない。
何度か話そうかとは思ったけれど、結局言い出せずにいた。
梓は大切な親友だ。
剛がわたしの気持ちを理解してくれたように、梓もわたしの気持ちを理解してくれるはず・・・。
けれどもいざ話そうとすると、言葉が出てこなくなる。
友達だと思っていた利栄子に裏切られたことが、今もしこりとなって、わたしの心の中に残っているからなのかもしれない・・・。
やがて桜の花咲く季節は終わり、木々の枝に青々とした若葉が茂る季節がやってきた。
五月初め。
五月は剛の誕生日の月だ。
そして美幸が生まれていれば、誕生日となるはずだった月――。
剛の23歳の誕生日の日。
梓も含めた三人で、誕生日パーティーをする前に、わたしは剛と二人で公園に出かけた。
公園の中心にあるあの一番大きな花壇には、真赤なチューリップが鮮やかに咲き誇っている。
わたしたちは真赤なチューリップをバックにして、一緒に写真を撮った。
写真を撮ったあとは、二人であのベンチに腰かけた。
ベンチからはチューリップの花壇がよく見える。
そして上を見上げれば、青い空が見える。
剛には、美幸を産むことができていたら、五月に生まれるはずだったことを、話していた。
剛はわたしの気持ちをいつもちゃんと理解してくれる。
ときには言葉では言い表さなくても、心で理解してくれる。
何度か話そうかとは思ったけれど、結局言い出せずにいた。
梓は大切な親友だ。
剛がわたしの気持ちを理解してくれたように、梓もわたしの気持ちを理解してくれるはず・・・。
けれどもいざ話そうとすると、言葉が出てこなくなる。
友達だと思っていた利栄子に裏切られたことが、今もしこりとなって、わたしの心の中に残っているからなのかもしれない・・・。
やがて桜の花咲く季節は終わり、木々の枝に青々とした若葉が茂る季節がやってきた。
五月初め。
五月は剛の誕生日の月だ。
そして美幸が生まれていれば、誕生日となるはずだった月――。
剛の23歳の誕生日の日。
梓も含めた三人で、誕生日パーティーをする前に、わたしは剛と二人で公園に出かけた。
公園の中心にあるあの一番大きな花壇には、真赤なチューリップが鮮やかに咲き誇っている。
わたしたちは真赤なチューリップをバックにして、一緒に写真を撮った。
写真を撮ったあとは、二人であのベンチに腰かけた。
ベンチからはチューリップの花壇がよく見える。
そして上を見上げれば、青い空が見える。
剛には、美幸を産むことができていたら、五月に生まれるはずだったことを、話していた。
剛はわたしの気持ちをいつもちゃんと理解してくれる。
ときには言葉では言い表さなくても、心で理解してくれる。


