わたしは手を伸ばして、剛の大きな手を握った。
自分でもなぜだか分からないけれど、言葉で何か言うよりも、そうするほうが自然のことのように思えたのだ。
剛は、初めは手を握られて、驚いたようだけど、すぐにわたしの手を握り返してくれた。
「次は美里ちゃんが話す番だよ。」
剛は言った。
「えっ・・・?」
わたしは顔を横に向けて、剛を見た。
「美里ちゃんも、誰か大切な人を失ったんだろ・・・?」
剛はこちらを向き、わたしの目を見つめている。
わたしは黙ったまま、剛から目をそらした。
「話したくないなら、話さなくてもいいよ。」
剛は優しく言った。
「でも話したくなったら、いつでも話を聞くから。本当の兄さんだと思って、話してくれていいから。」
わたしはいったんそらした目を、再び剛に向けた。
剛の瞳が、わたしの瞳をまっすぐ見つめている。
偽りのない瞳。
優しいまなざし。
わたしは小さく口を開きかけた。
固く閉じられていた心の奥の扉が、開きかけた。
自分でもなぜだか分からないけれど、言葉で何か言うよりも、そうするほうが自然のことのように思えたのだ。
剛は、初めは手を握られて、驚いたようだけど、すぐにわたしの手を握り返してくれた。
「次は美里ちゃんが話す番だよ。」
剛は言った。
「えっ・・・?」
わたしは顔を横に向けて、剛を見た。
「美里ちゃんも、誰か大切な人を失ったんだろ・・・?」
剛はこちらを向き、わたしの目を見つめている。
わたしは黙ったまま、剛から目をそらした。
「話したくないなら、話さなくてもいいよ。」
剛は優しく言った。
「でも話したくなったら、いつでも話を聞くから。本当の兄さんだと思って、話してくれていいから。」
わたしはいったんそらした目を、再び剛に向けた。
剛の瞳が、わたしの瞳をまっすぐ見つめている。
偽りのない瞳。
優しいまなざし。
わたしは小さく口を開きかけた。
固く閉じられていた心の奥の扉が、開きかけた。


