☆消えてしまったわたしの赤ちゃん☆14歳の妊娠・・・ ~セックスを軽く考えないで~

「前から聞きたいと思ってたんだけど、剛お兄さんはどうして、お医者さんになりたいって思ったの?」


わたしはとなりに寝ころがっている剛に向かってたずねた。


「うーん、じいちゃんのことがあったからかな・・・。」


剛は答えた。


「おじいちゃんのこと?」


わたしはたずねた。


「うん。」


剛はうなずいた。


「前に、おれがじいちゃん子だったってことは、話したよね。じいちゃんはおれが寂しいときには、いつも一緒にいてくれた。たくさん遊んでくれた。


何かを上手くできると、ほめてくれたし、反対に何かいけないことをしたら、ちゃんと叱ってくれた。


じいちゃんはおれにとって、祖父でもあり、父親のようでもあり、友達でもあったんだ。」


「そうだったの・・・。」


「でもおれが8歳のときに、じいちゃんはガンだってことが分かった。もう末期だった。余命半年だって、告げられた。おれはすごい悔しくて。


じいちゃんのそばにいたのに、どうして気づいてあげられなかったんだろうって・・・。初期だったら、助かったかもしれないのに・・・。


それ以来ずっと、将来は医者になろうって決めてた。じいちゃんは救えなかったけど・・・、でも他の多くの人たちを救えたら、じいちゃんはきっと喜ぶし、天国からおれをほめてくれると思う。」



わたしは黙って、剛の話を聞いていた。


大切な人を失うことは、言葉では言い表せないほど、悲しいこと。


とてつもなく悲しいこと。


そしてその悲しみを乗り越えて、剛は医者を志すことを決めたのだ。