「前から聞きたいと思ってたんだけど、剛お兄さんはどうして、お医者さんになりたいって思ったの?」
わたしはとなりに寝ころがっている剛に向かってたずねた。
「うーん、じいちゃんのことがあったからかな・・・。」
剛は答えた。
「おじいちゃんのこと?」
わたしはたずねた。
「うん。」
剛はうなずいた。
「前に、おれがじいちゃん子だったってことは、話したよね。じいちゃんはおれが寂しいときには、いつも一緒にいてくれた。たくさん遊んでくれた。
何かを上手くできると、ほめてくれたし、反対に何かいけないことをしたら、ちゃんと叱ってくれた。
じいちゃんはおれにとって、祖父でもあり、父親のようでもあり、友達でもあったんだ。」
「そうだったの・・・。」
「でもおれが8歳のときに、じいちゃんはガンだってことが分かった。もう末期だった。余命半年だって、告げられた。おれはすごい悔しくて。
じいちゃんのそばにいたのに、どうして気づいてあげられなかったんだろうって・・・。初期だったら、助かったかもしれないのに・・・。
それ以来ずっと、将来は医者になろうって決めてた。じいちゃんは救えなかったけど・・・、でも他の多くの人たちを救えたら、じいちゃんはきっと喜ぶし、天国からおれをほめてくれると思う。」
わたしは黙って、剛の話を聞いていた。
大切な人を失うことは、言葉では言い表せないほど、悲しいこと。
とてつもなく悲しいこと。
そしてその悲しみを乗り越えて、剛は医者を志すことを決めたのだ。
わたしはとなりに寝ころがっている剛に向かってたずねた。
「うーん、じいちゃんのことがあったからかな・・・。」
剛は答えた。
「おじいちゃんのこと?」
わたしはたずねた。
「うん。」
剛はうなずいた。
「前に、おれがじいちゃん子だったってことは、話したよね。じいちゃんはおれが寂しいときには、いつも一緒にいてくれた。たくさん遊んでくれた。
何かを上手くできると、ほめてくれたし、反対に何かいけないことをしたら、ちゃんと叱ってくれた。
じいちゃんはおれにとって、祖父でもあり、父親のようでもあり、友達でもあったんだ。」
「そうだったの・・・。」
「でもおれが8歳のときに、じいちゃんはガンだってことが分かった。もう末期だった。余命半年だって、告げられた。おれはすごい悔しくて。
じいちゃんのそばにいたのに、どうして気づいてあげられなかったんだろうって・・・。初期だったら、助かったかもしれないのに・・・。
それ以来ずっと、将来は医者になろうって決めてた。じいちゃんは救えなかったけど・・・、でも他の多くの人たちを救えたら、じいちゃんはきっと喜ぶし、天国からおれをほめてくれると思う。」
わたしは黙って、剛の話を聞いていた。
大切な人を失うことは、言葉では言い表せないほど、悲しいこと。
とてつもなく悲しいこと。
そしてその悲しみを乗り越えて、剛は医者を志すことを決めたのだ。


