わたしたちは並んで、自転車を走らせた。


夜風を感じながら、二人でこうして自転車に乗っているのは、とても心地よかった。


剛は口笛を吹いている。


夜空から、月がわたしたちを見下ろしている。



十五分ほど走りつづけ、わたしと剛は、わたしの家の前にたどりついた。


わたしたちは自転車から降りた。


「送ってくれて、どうもありがとう。」


わたしはお礼を言った。


「どういたしまして。」


剛も言った。


「じゃあ、気をつけて帰って下さいね。」


「うん。じゃあ、美里ちゃん、おやすみ。」


剛はそう言って、自転車に乗ろうとしたが、何か用を思いだしたのか、再びわたしのほうを向いた。


「あっ、そうだ。美里ちゃんの携帯番号、教えてもらってもいい?」


「うん、いいですよ。」