「あっ、わたし、ハンカチ返すの忘れてた!」
「ハンカチ?ああ、あのときの・・・。」
剛も思い出したようだった。
ハンカチというのは夏休みに遊園地に行ったとき、突然泣き出したわたしに、剛が差し出してくれたあのハンカチだ。
あのあと、わたしはハンカチを持ち帰ってしまい、家で洗濯したものの、どうやって返そうかと考えているうちに、返しそびれていたのだ。
「あのハンカチ、美里ちゃんにあげるよ。」
剛は言った。
「いえ、そんな。ちゃんと返さないと。洗濯して、たたんであるし。」
わたしは言った。
「それなら、またあした、駅前かどこかで、待ち合わせするのはどうかな?
でもおれ、あしたは8時くらいまで予定入ってるから、夜の9時半とかでもいい?」
「はい、いいですよ。」
そういうわけで、わたしと剛は、再び翌日の夜に会うことになった。
自転車に乗って、家路へと急ぎながら、わたしの胸に再び、コンビニの窓から見たかっちゃんと利栄子の姿が浮かんできた。
手をつないで歩く二人の姿。
剛と会っている間は、二人のことを考えなくてすんでいた。
でも一人になったとたん、またあのときの映像が蘇ってくる――。
でも・・・、考えてもどうしようもないだけ・・・。
いくらわたしが思い悩んでも、その気持ちがかっちゃんに伝わるわけではない・・・。
苛立ちばかりがつのるだけ・・・。
「ハンカチ?ああ、あのときの・・・。」
剛も思い出したようだった。
ハンカチというのは夏休みに遊園地に行ったとき、突然泣き出したわたしに、剛が差し出してくれたあのハンカチだ。
あのあと、わたしはハンカチを持ち帰ってしまい、家で洗濯したものの、どうやって返そうかと考えているうちに、返しそびれていたのだ。
「あのハンカチ、美里ちゃんにあげるよ。」
剛は言った。
「いえ、そんな。ちゃんと返さないと。洗濯して、たたんであるし。」
わたしは言った。
「それなら、またあした、駅前かどこかで、待ち合わせするのはどうかな?
でもおれ、あしたは8時くらいまで予定入ってるから、夜の9時半とかでもいい?」
「はい、いいですよ。」
そういうわけで、わたしと剛は、再び翌日の夜に会うことになった。
自転車に乗って、家路へと急ぎながら、わたしの胸に再び、コンビニの窓から見たかっちゃんと利栄子の姿が浮かんできた。
手をつないで歩く二人の姿。
剛と会っている間は、二人のことを考えなくてすんでいた。
でも一人になったとたん、またあのときの映像が蘇ってくる――。
でも・・・、考えてもどうしようもないだけ・・・。
いくらわたしが思い悩んでも、その気持ちがかっちゃんに伝わるわけではない・・・。
苛立ちばかりがつのるだけ・・・。


