夢から目覚めたとき、わたしにはその夢のことを、まるで現実のことのようにはっきりと覚えていた。


そして夢の中で、美幸と交わした言葉も。



夢の中で、美幸はお父さんが遊んでくれたと言っていた。


美幸のお父さんは、一人だけ・・・。


かっちゃんだけだ・・・。


でも・・・、


かっちゃんは美幸のことを、大切に思っていない・・・。


子供を産むなと言ったのは、かっちゃんだ。


かっちゃんは一度として、父親としての自覚を持ったことなんかないだろう。


それなのにどうして美幸は、わたしにあんなことを言ったのだろうか・・・。




それからしばらくたった日曜日のことだった。


わたしは夕方街に出かけ、買い物をしたついでに、駅前のコンビニに立ち寄った。


そして窓際で、パラパラとファッション誌を立ち読みしながら、何気なく窓の向こうの歩道に目をやった。


その瞬間、わたしの体はこう着した。わたしの目に映ったのは、衝撃的な事実だった。




すぐそばの歩道をかっちゃんが歩いていく。


しかもかっちゃんは一人ではない。


かっちゃんのとなりには、利栄子がいた・・・。


二人は何かしゃべりながら、手をつないで歩いている・・・。