命日の夜、わたしは夢を見た。


けれどもそれは、あの恐ろしい手術台の夢ではなかった。


わたしは暗闇の中で、たった一人でしゃがみこんでいた。


美幸のことを想いながら。



すると、天空から光がすーっと降りてきた。


わたしは顔を上げて、光を見た。


光の中には、美幸がいる。


美幸はわたしの腕の中にふわりと降りてくると、幸せそうに微笑んだ。



「大好きなお母さん、お花をいっぱい飾ってくれてありがとう。甘いお菓子とおいしい飲み物をいっぱいくれてありがとう。」


美幸は言った。


わたしはうんうんと、うなずきながら、美幸を優しく胸に抱き寄せた。


羽のように軽いけれど、美幸は確かに、わたしの腕の中にいる。



「今日、お父さんのところに行ったらね、お父さんが遊んでくれたよ。」


美幸は嬉しそうに言った。


「お父さんが・・・?」


わたしはたずね返した。


「うん。たかいたかいをしてくれたよ。」


「そう・・・、お父さんが・・・。」


「うん。とっても楽しかったよ。」


「そう・・・、よかったね。」


「うん!」


美幸はしゃらしゃらと鈴の音が鳴るような声で笑った。