息を切らしてやってきたのはアデルであった。
夜空を流れるように飛ぶメルディの鷹を見付け、エルクの元へ急いだのだ。
「早かったな。呼ぶ手間が省けた」
アデルはやや乱れた呼吸を整えながら、頷いた。
出るタイミングを逃したクトラが、戸惑いながらアデルを見た。
「ん?あぁ、すまないな」
アデルは邪魔をしていたと察し、扉を押さえて人が通れるスペースを作った。
道が出来たことで、クトラは再び動き出す。
「では、失礼します」
「あぁ」
アデルも自分も同じに小隊長なのに、エルクはクトラに相談をしようとはしていない。
わかりきっていた事実に、クトラは唇を噛み部屋を後にした。
