黙っているアデルに、エルクは目を伏せたまま問い掛けた。
「……このままだと、ミーナはどうなる?あいつがオネストを背負えるのか?」
エルクから問われ、アデルはようやく心を決める。
アデルは、首を横に振った。
「ミーナ様に……国を背負う器はありません」
「何……!」
「落ち着いて聞いてください!」
立ち上がりかけたエルクを、アデルが片手を上げて制する。
エルクは、しぶしぶと腰を下ろした。
「ミーナ様には人を惹き付ける魅力があります。彼女の力になりたい、守りたいと、そう思わせるような」
エルクは、腕組みをしながら睨むような視線をアデルへと向けた。
それに臆することなく、アデルは続ける。
「しかし、それだけでは国は治まらない」
