金色の師弟


『少し恥ずかしい気もするけど』

そう呟きながら、アイリスは自分を描いたその絵を、扉を開けたら一番に目に飛び込む階段上に飾った。

アデルもその作業を手伝ったことを覚えている。

小さな体と手で、懸命に母の絵を支えていた。

そして飾った絵を見上げたとき、アデルは理由のわからない苦しさに胸を掴まれた。

美しい絵なのに、どこか切ない。

それがまだ子供だったため、何かはわからなかったが。

今見ても、やはりどこか切なく見える。
大人になった今になり、その理由がわかるようになったかと言われると、素直には頷けない。

一つ気付いたことは、美しい絵であるのに荒々しい筆使いであること。

特に背景の荒野や空は、まるで絵の具を投げ付けたのではと思われる乱暴さが見られる。

まるで、何か苦しさに取りつかれ、それを必死で発散するような絵だった。