シェーダに帰国後、アデルは小隊長として部下たちから負傷者の確認を取り、彼らを解散させた。
そして、騎士団長への報告を済ませると、王への報告を任せ彼も自身の邸宅へと帰宅した。
シェーダ国は貴族制が現在も根深く残っている。
国力を強めるため、エルクの代からは積極的に有能な平民を騎士団に入団させてはいるが、それもまだまだ数少ない。
アデルもまた、上流とまではいかないが有力貴族の一人で、ヤーデ家の長男である。
騎士団で尚且つ力があり家柄も高いものには、特別に城内に邸宅を構えることが許されていた。
ヤーデ家は、アデルの母であるアイリスが女性ながらに王直属近衛兵という役職におり、何度も前王の命を救った。
その実力を認められ、城の敷地内に小さな邸宅を贈られたのだ。
上流貴族でもないヤーデ家の大出世は、全てアイリスの功績である。
