焦っていた自分を情けなく思う。
ゴードの言葉の通り、ルイはまだ新米である。
頭を下げたルイの姿に、ミーナは軽く微笑む。
「期待していますよ、ルイ」
思わぬところで激励を受け、ルイは喜びに顔を上げる。
柔らかながらに芯の通ったミーナの声は、ルイの心を鷲掴みにした。
彼女を笑顔にしたい。
自然とそう思える魅力があった。
「はい!」
満面の笑みで威勢よく頷き、ルイは再び頭を下げた。
「ところで、イアン様にお会いできるかしら?」
「王ですか?はい。本日は特に予定もないので、城内にいらっしゃいますよ」
小首を傾げ問うミーナに、カトルが答える。
視線を城へ向けたカトルに続き、ミーナも城を見上げる。
比較的近い位置に修練場は設置されているため、見上げた視界に城の全ては収まりきらなかった。
