ルイの気持ちを察しはしたものの、アデルへの気持ちを思い知らされるようで癪だ。
気遣うような表情も、苛立ちを露わにした表情も出来ずに、複雑に眉をしかめてライラはルイを見つめた。

「……ルイ」

「やっぱり、ライラは凄いですね。一日であんな作戦を作るなんて」

無理に笑う姿が痛々しい。
だが、ライラは掛けるべき言葉など知らず、ただ首を振るだけだった。

「あんなもの、大したことない」

「そんなことないですよ。少なくとも、私には出来ません」

「……僕だって、アデルの一番弟子なんて出来ない」

ルイは苦笑を浮かべてから、俯いた。

「アデルは凄い奴だ」

唐突にライラが呟いた。
認めたくはないが、自分はアデルの足元にも及ばない。
それは知略だけの話ではなく、様々な点において悔しいが適う気がしなかった。

主には、ルイに関する話になるのだが。しかし、理由は明らかだ。
ライラはアデルのように、素直になれなかった。

素直になれば渡り合えていたかは、また別問題となるだろう。