歓喜に震えるルイの肩を、大きなゴードの手が包むように掴んだ。
筋肉質で巨体の彼は、そびえるように立っている。
その威圧感に気圧されることなく、ルイはゴードを見上げた。
口数が少なく無表情なゴードはよく他人から誤解を受けるが、ルイは彼に怯えることなく向かい合う。
「お前はまだ新米だ。新米が一から自分だけの技を作ることは出来ん。わかるか?」
「……はい」
ルイはゆっくりと頷いた。
焦る自分を戒めるような口調にも、ルイは目を逸らさなかった。
諫める言葉でさえ、吸収しようとする。
アデルが見込んだだけのことはある、とゴードは内心で笑みを浮かべながら、無表情にルイの肩から手をどかした。
「焦るな。アデルの気持ちを大切にしろ」
「……はい」
ルイは深く頷き、ミーナとゴードに頭を下げた。
二人の言葉のおかげで、ルイの空色の瞳から雲は消え去った。
