情報収集はアデルの得意分野ではなかった。
しかし、アデルには強力な仲間がいる。
書類の中から、数枚の手紙を抜き出した。
差出人は王都に残ったノルンである。
ノルンの家は腕っぷしや知略ではなく、情報収集により地位を確立した貴族である。
様々な情報を集め、誰に付けば勝つか、現在優位なのはどの家か、国に対し有益な情報を王家に提供し、時には情報で人を脅す。
このやり方を卑怯だと罵る者も多いが、実際に王家に対しての貢献度は高いため、直接悪態を吐くような者はいない。
封の切られた封筒の中から、一枚の手紙を取り出した。
情報を武器に戦うという姿勢は、間違っていないとアデルは思う。
誰もが武才を、知略を、持っているわけではない。
持っている才能や力は同じではない。
ならば、与えられた才能を使うことは卑怯ではないはずなのだ。
