俯いたルイの手を、ミーナが強く握り締める。
顔を上げたルイが見たものは、笑みを消し、はっきりと自分を見据えるミーナの瞳だった。
「真似の何がいけないのですか?」
「ミーナ姫……?」
はっきりと響く聞き慣れないミーナの声音に、ルイは僅かに身を縮ませる。
毅然と言葉を紡ぐ姿は、確かに一国を背負う姫としての威厳が確かに存在していた。
「貴女は王を守るために、強くあらねばなりません。私が貴女ならば、迷わず良いと思ったものを全て真似し、力にします」
力強い瞳に気圧され、ルイは唖然とした表情を浮かべる。
強くなることに迷う必要はない。
剣を手にイアンを守ることは、ミーナには出来ないからこそ、彼女は強く願ってしまう。
「私からもお願いしたいのです。どうか、どうか強くなり、イアン様を守ってください」
「ミーナ様……」
「王を守るのは、貴女なのです、ルイ。貴女の真っ直ぐさは聞いています。貴女はそのまま進めばいい」
真似でもいい。
他人に……ましてや王女であるミーナから言われたことで、ルイの心は震えた。
