金色の師弟


今回の戦争の発端は、あまりにも不可解過ぎる。
そもそも、エルク一人ならば戦争など起こさないだろう。
つまり、誰か糸を引いている者がいるはずだ。
アデルがエルクの傍にいれば、エルクはアデルの忠言を聞き入れ、戦争を引き起こすにも上手くはいかないだろう。
アデルは、戦争を起こしたい人間にとっては、非常に邪魔な存在なのだ。

今回の出兵に関して、アデルはエルクから何も話を聞いていない。
直接意見を伺いたいと申し出ても、団長に忙しいからと一蹴されてしまった。

アデルは、この戦争に何一つ納得していなかった。

「大体、俺の小隊から制圧軍に参加しているのがジョシュアだけというのがおかしいんだ」

「孤立させようとしていますね」

「こうも露骨にやられると、張り合いがなくてつまらないな」

頭を使うまでもなく見えてくる悪意は、確かに面白さの欠けらもない。
砦を制圧せねばならないのに、信頼関係の築かれていない隊を指揮しろというのは無茶である。

「志願兵が多いことが、幸いでしたね」

「向こうとしては、それも嫌がらせだったがな」

弓騎士として名が知れ渡り、上官としても尊敬に値するアデルは、下からの信頼は厚い。
実力は乏しい部隊であったが、指示は比較的よく通った。