「お前、何年俺の傍にいるんだ?」
ジョシュアは目を閉じ、初対面から今日までを思い返した。
初対面は十年以上も前。
さらには、アデルが十八歳で小隊長となったときから、ジョシュアは副隊長としてアデルの補佐をしてきた。
ジョシュアの言葉を待たずに、アデルは低く囁いた。
「お前が見てきたアデルという男は、天秤のどちらかを選んで満足出来るような人間だったのか?」
吐息のような言葉が耳に届いたとき、ジョシュアは思わず背筋を震わせた。
ジョシュアには想像も及ばないような大きな何かを、アデルは計画しているような気がした。
勝手に震える唇が、慎重に言葉を紡いでいく。
「貴方は……どこに行かれる、おつもりですか?」
目の前にいるのに、アデルの姿が見えない。
アデルは子守歌のように静かに告げる。
「俺は自分の行動には責任を持っている。誰に何を言われようと……な」
机の上に重ねられた書状の中から一枚をアデルは取出し、ジョシュアへと手渡した。
受け取ったジョシュアは文面に目を落とした。
