優秀な副官は皮肉な笑みを浮かべ、無音でアデルの元へと歩み寄った。
「アデル将軍としては、メルディ国を攻めるのは心苦しいのでしょう?」
金色の瞳を丸くし、アデルはばつが悪そうに目を逸らした。
からかいを含んだ将軍という言葉は、アデルがメルディと深く関わり過ぎたことを暗に指摘している。
ノルダ砦を落とした日から、アデルは哀しく微笑む金色の少女の夢ばかり見る。
今もそうだ。
夢の中で彼女は、ただ「会いたい」と叫んでいた。
「……エルク様の命令なら、何でもやるさ」
「なら、あの金髪の娘……。彼女を殺せと命じられたら?」
「ジョシュア!」
金色の瞳が、怒りに燃えた。
どのような皮肉も笑って流すアデルが見せた怒りの表情に、ジョシュアは無意識に口を閉ざした。
アデルは一度目を閉じる。
そして、再びジョシュアを見上げたときには、凪いだ金の海原がそこにあった。
意地悪く口元を緩めたアデルの微笑に、ジョシュアは目を瞠る。
艶やかな表情に、目を奪われるのだ。
「なら、お前は俺を殺せるか?」
狡い人だとため息を吐きながら、ジョシュアは首を左右に振った。
