アデルは下ろしたままの黒髪を掻き上げ、ため息を吐いた。
窓から入り込む月明かりに照らされた輝く黒髪と、自ら光る金色の瞳は、まるで絵画から出てきたかのようであった。
二人は歳こそ離れてはいるものの、同期に騎士団に入団したため、付き合いも長い。
だから、互いの性格についても大方把握している。
「……自分が女性にそのような言葉を吐くのには慣れているが」
「言われると、照れてしまいますか?」
「寒気がする」
容赦なく言い放つアデルに、ジョシュアは軽やかな笑い声を上げた。
つれないところも魅力でしょうね、と続けられた言葉に、アデルは頭を抱えた。
アデルは決して、自分を気味悪がっても、嫌がってもいない。
女性に対するより少し冷たくあしらっているだけで、アデルはジョシュアの性癖など気にしていなかった。
ジョシュアは同じ弓騎士としては、アデルに遠く及ばないが、彼の任務遂行能力はアデルにとって必要不可欠であった。
過不足無く、与えられた任務をこなす。
性格とは裏腹に、余計なことはせず、目標に到達させる堅実さが、ジョシュアの長所だ。
