「こ、この娘が誘うような顔をしていたのだ!」
男は少女を指差し、赤子でもわかる嘘を吐く。
もっと面白い言い訳をしてもらえれば、こちらも楽しめたというのに。
ジョシュアは残念そうにため息を吐くと、少女を振り返り優しく笑う。
「こんなに可憐な少女が、自ら誘っておいて刑罰を狙うような策士には見えませんよ」
うちの指揮官じゃあるまいし、と内心で呟き、ジョシュアは肩を竦めた。
縋るように、大きな瞳を潤ませた少女は安堵の息を吐く。
再び冷たく男を見下ろすと、ジョシュアは足音を立てずに男との距離を詰める。
「ま、待ってくれ!つい……魔が差しただけなのだ!制圧軍には女はいない……。欲求不満になるのは、同じ男ならわかるだろう!?」
同意を求め悲鳴じみた声を上げた男に、ジョシュアはにっこりと微笑んだ。
太陽のような微笑みに安心しかけた男の耳に届いたのは、息が止まる程美しく冷たい声だった。
「わかりませんね。私、男色家なもので」
「ひっ……!」
ジョシュアは流れる動作で男の腕を掴み前のめりにさせると、露わになった首に手刀を振り下ろした。
「かっ……!」
短い呻き声を上げて倒れた男を、ジョシュアは軽がると持ち上げた。
「今夜はもう遅い。再び獣に捕まる前に、早くお戻りなさい」
座ったままの少女に手を差し伸べると、ジョシュアはそっと目を細め、身を翻した。
