揺さ振られたルイは、転ばないように足に力を入れ、ディンにされるがままになっていた。
「こいつは、アデルが唯一惚れた女だからな。そして、今では相思相愛ときた」
「え!本当に!?」
顔中に笑みを浮かべ、ユリアはルイの手を取り微笑んだ。
同じ孤児院で育ったルイが初めて恋をしたことが、親友、そして家族として嬉しかった。
だが、その表情はすぐに曇る。
「あ……ごめんなさい。今は……」
「いいのよ、ユリア。あなたが喜んでくれて、私も嬉しいもの」
例え相手が今は敵国の将であっても、一番に喜んでくれたことが、ルイには嬉しかった。
本当なら、反対をされても可笑しくないというのに。
「私はね、アデルという人を全く知らないけれど……」
ユリアは視線を下に向けると、指の腹で唇を撫でながら吐息のように呟いた。
「あの人、同じシェーダ軍内で味方が少ないように見えたの……」
「え?」
「だって……」
ユリアはそこで一つ息を吐くと、重々しい声で、そっと零した。
「あの人、私を逃がしてくれたのよ……?」
アデルは彼で別の企みを持っている。
ユリアの発言はライラの考えを固める、有力な証言の一つになった。
