「ノルダ砦だが、奪還は王子率いる近衛兵団で行う」
「だが、近衛兵団は全体数も騎士団より少ない。大丈夫なのか?」
大臣の一人が、片手を挙げながら尋ねる。
心配することはないとでも言いたげに口元を緩めると、ライラはユリアへと視線を向けた。
「ユリアの証言から、シェーダ軍の食料消費量が莫大であることがわかった。これなら、わざわざ戦わずとも、補給線を絶ち孤立させてやれば勝てる」
捕虜が気掛かりではあったが、ライラはあえて口にはせずに目を閉じた。
「ノルダ砦奪還に関しては少し考えたいことがある。詳しい作戦は本日中に形にするつもりだ。少々待っていてほしい」
これは、アデルがわざと隙を見せて誘っているのだろうか?
そんな疑念がライラの頭からは離れない。
厄介な相手が敵に回ったことに、苛立ちを抑えきれない。
作戦を立てるにあたって、苛立つなどということは、ライラの記憶の中で一度しかない。
まだイアンに仕える以前の話だ。
デモンド国境線警備の強化。
イアン王のシェーダ国侵入。
シェーダからの宣戦布告に対する解決策をその二つに決め、会議は一度解散となった。
