金色の師弟


もしかしたら、こちらを油断させて後から追い詰める戦略なのかもしれない。
アデルの頭脳から繰り広げられる戦略は、ルイにはわからない。
だが、アデルは無駄なことはしない。
どのような点も、繋いで線にする。
いや、線にするために沢山の点を打つのだ。

「あの方の作戦には、ノルダ砦の兵たちの命が必要なはずです。そして、それは殺すためではなく、生かすことに意味があるのでしょう」

アデルを信じたい。
その気持ちがルイの発言に全く無関係だったとは言い切れない。
だが、ルイの発言は彼女の目から見たアデルという人間に対する評価であり、そこに嘘偽りはなかった。

「……ですが、彼らに人質としての価値があることは事実です。あまりのんびりとはしていられないかと」

付け加えられたルイの言葉には、頷く者が何名かいた。
宰相もその一人である。

「全員無事というのは喜ばしいことですが、逆に全員を人質に取られているとも言えます」

解放の条件に、メルディが不利になるようなものを挙げられるのではないかと、宰相は危惧している。
そして、宰相は黙ったままのライラへと声を掛けた。