イアンは言葉を探している一同に目を向けたあと、傍らに跪くルイへと微笑を浮かべる。
「ルイはどう思う?」
「はい……?」
不意に話を振られ、ルイは目を丸くした。
何も考えていないわけではないが、意見を聞かれるとは思わなかったのだ。
「アデル将軍を一番よくわかっているのはルイだよ。僕は彼がいる限りメルディの兵を傷つけることはないかと思う」
どうかな、と首を傾げられ、ルイは深く頭を下げる。
「私は……あの方はエルク王のためならば関わりの深い同盟国にも本気で侵略を出来る方だと思っております」
事実、ノルダ砦の無血開城はアデルの本気の証であろう。
だが、ルイにはアデルの目的がノルダ砦制圧だけではないように思えて仕方がない。
それは、もしかしたらアデルを美化したい自分がいるからかもしれないが。
「ですが私は、あの人が誰も傷付けずに砦を占拠したのなら、何か目的があってのことだと思います。ならば、折角無傷で捕らえた人たちを傷付けることがありましょうか」
例えば、人質として彼らの命を盾に何か要求を迫るかもしれない。
そしてアデルは、必要さえあれば人質という手段も取るだろう。
だが、それならば捕まえた捕虜達に対する扱いが甘過ぎる。
多少虐げたほうが、こちらは危機感を感じ、焦らされるというのに。
