「だが」
騎士団長はライラを見つめ、一つ指を立てた。
「兵を集めるなら、飾りだけだとしても意志のある者にすべきだ。無理矢理参加する兵は士気を下げる」
「それは……確かに」
「数として協力してほしいと言えば、無理をせずとも人は揃うだろう。誰だって、守りたい何かがあるはずなのだから」
「集め方は団長のやり方で構わない。それが最適だ」
騎士団長は自身の愛妻と子供たちの顔を思い浮べ、柔らかな笑みを浮かべた。
民にとっては、王への敬意に訴えるよりも、身近な者の幸せを願わせたほうが共感を得る。
団長はそれを経験で知っていた。
「では、ノルダ砦は如何致しましょう」
宰相がイアンへと意見を求めた。
イアンは神妙な面持ちで頷く。
「……うん。取り返さなければいけないのはわかるんだが、急ぐ必要はないと思うんだ」
イアンの発言に、一同は考え込む。
賛成すべき点も反対すべき点も等しく存在しており、何を発言すべきか考えあぐねている。
