金色の師弟


絶望に打ち拉がれていた若い王の急激なる変化に、誰もが驚きの視線を向けた。

「デモンド王国と手を組みメルディ王国は同盟三国を支配下に置こうとしている。オネスト王国との婚姻はその証であり、これは婚姻により正当化された侵略である。我々シェーダ王国は同盟国としてオネスト王国を侵略軍から守り抜く義務がある。よって我々はここに宣言する。同盟国を裏切る卑劣なメルディ王国に対し、武力を以て侵略軍を制圧し、同盟の秩序を守らんことを……。これがシェーダの主張だ」

朗々と述べられた宣戦布告文の内容に、室内の多くが激昂して立ち上がる。

「これは大きな誤解だ!」

立ち上がった者たちは憤りを吐き出そうとしたが、それより速くイアンが机に拳を叩きつけた。
面々は、イアンによって出鼻を挫かれたのだ。
力強くイアンは拳を握り締め、集められた者たちを見渡した。