本当は、ルイはこの会議に参加すべきではなかったようにライラは思う。
いくらユリアを落ち着けるためとはいえ、シェーダ侵攻の話にルイが傷付くのは目に見えている。
険しい視線をルイに向けていたライラ。
だが、その視線は突然の珍入者へと移された。
「失礼致します!」
確認もなしに勢い良く開かれた扉。
開いたのは若き青年騎士で、荒い呼吸のままその場に跪いた。
「無礼者!陛下の御前であるぞ!」
「構わない。何があったんだい?」
声を荒げた騎士団長を柔らかく制し、イアンは柔らかくも険しい視線を青年騎士に向ける。
騎士は手にしていた書状を高く持ち上げると、震える声で告げた。
「シェーダ国からの、宣戦布告にございます」
扉に一番近い位置に立っていたルイが弾かれたように青年騎士へ駆け寄り、書状を受け取った。
そして早足にイアンの元へと移動すると、片膝を付き書状を捧げた。
