金色の師弟


ユリアの説明は、こうであった。


テルーベ大河を眼下に臨むノルダ砦。
難攻不落という名は、今まで一方からしか攻められていなかったから付いた名であった。
ドルネア国から攻めるとなれば、高台にあるノルダ砦は攻めにくく、相手からの攻撃は受けやすい。
だが、逆にシェーダ国から攻め込んだ場合はどうだろう。
ノルダ砦は山の中に建てられた砦である。
つまり、シェーダ側には更に高い山が連なっているのだ。

シェーダ軍は、弓兵と投石機をノルダ砦を囲む高台に並べた。
そして、夜のうちに砦周辺の森に歩兵や騎兵を忍ばせた。
一日中テルーベ大河に監視の目を光らせている兵たちも、まさかシェーダからの進軍があるとは思わず、容易に囲まれた。

そして翌朝、朝日とともに弓をつがえる兵たちの影が伸び、投石機と共に、ノルダ砦を狙った威嚇の石と矢の雨を降らせたのだ。
背後は崖。
開門をすれば潜んでいた兵たちが砦へとなだれ込むことは確実。
反撃は不可能。
降伏しか、道は残されていなかったのだ。