その日、作戦会議室は異様な空気に包まれていた。
陽の昇り切っていない時間であったが、机を囲む各人の頭は嫌になる程覚めていた。

「話してもらえるかな」

上座に座るイアンが、ゆっくりと長机の真正面で身体を震わせているユリアに声を掛けた。
座っているユリアの傍らには、彼女の肩を抱くようにルイが寄り添っていた。

会議室には、王であるイアンを中心に、宰相、各大臣、将軍、近衛兵団長、騎士団長、各小隊長、そして軍師としてライラが揃っている。
本来なら近衛兵の一人であるルイは作戦会議に参加する立場などないのだが、今回はユリアの友人ということで、彼女を安心させるために同席を許可された。

全体の視線が、ユリアに突き刺さる。
一斉に向けられた視線にユリアは肩を震わせたが、ルイが肩を支える力を強めたため、安心した様子で息を吐いた。