金色の師弟


「急いでいるの、お願い!イアン様に会わせて!」

「待て。その前にお前の身分を確認しなければならない」

「私はユリアです!ノルダ砦配属の衛生兵!」

「だから、それはもう聞いた!その確認をしなければ、イアン様にお取り次することは出来ん」

「なら、急いで!」

悲痛な声が空気を裂いた。
馬の隣で、ユリアは今にも崩れ落ちそうな顔をしながら門番に詰め寄っている。
ルイの記憶では、ユリアは馬に乗ることが苦手だったはず。
その彼女が馬を使い城へとやってきたのだから、重要な話なのだろう。

「ユリア!」

ルイはまだ遠い城門へと、声を張り上げた。
門番もユリアもその声に気付き、駆け寄るルイの姿を確認する。

「ルイ……!」

ユリアの顔に、歓喜の色が広がった。
だが、それは一瞬のことで、ルイが城門へ着くと再び絶望に満ちた瞳でルイへと縋り付いた。