馬小屋の掃除が終わり、日の角度がやや高くなった。 ルイは飲み水を変えようと、桶を手に馬小屋から少し離れた井戸へと向かった。 水を汲んでいたルイの後方で、何やら言い争う声が聞こえる。 城門の方向であった。 気に掛かり、ルイは振り向く。 すると、そこにいたのは遠いノルダ砦で衛生兵として働いているはずの親友、ユリアだった。 「ユリア……?どうして」 ユリアは色白の肌をさらに青くし、門番たちに詰め寄り何かを訴えていた。 ルイは手にしていた桶を置くと、城門へと走りだす。