ルイは黒馬から身体を離すと、手に持っていた弓と背負っていた矢筒を扉の入り口付近へと下ろす。
そして、腕まくりをすると馬小屋内を見渡した。
決して清潔とは言えない匂い。
乾草の散乱した床。
掃除せねばならない部分は大いに存在している。
自分の馬は自分で面倒を見たいという人が多く、馬の世話をするという点ではルイよりも適任な人間が多くいるため、ルイはそちらには手を出さない。
だから、ルイはせめて出来ることは手伝いたいという思いから馬小屋の掃除をしている。
これは、アデルに本数制限をされたことで空いた時間を利用してのことである。
馬小屋の掃除に当番はなく、馬の世話のついでに飼い主の兵たちがやっていた。
世話も掃除も両方やらねばならないのは、やはり負担だろう。
そう考えたルイは、自分でも出来る掃除をすることにした。
