その後も何本か矢を放ち、数十分もしたころには、周囲の木の葉にしがみ付く朝露は全て地面へと落とされていた。
練習は大事だが、やり過ぎも身体に負担を掛けるからよくない。
アデルはそう言って、ルイに朝練の本数を制限させた。
彼がいない時でも、ルイはきちんと指定された本数を射ち弓を引く手を休める。
それにこの本数制限は、決まった数を丁寧にこなすという意味も籠められている。
「何度も射てると思うと、無意識でも気は緩むものだ。常に残りの矢を意識して弓を引くように心掛けろ」
その言葉に、ルイは返す言葉もなかった。
自分はいつでも真剣に練習に取り組んでいる気でいたが、確かに思い通りに弓が引けなかったときには、次があると考えている自分がいた。
本当に、アデルの背中は遠い。
それでも懲りずに追い掛け続けるのは、もしかしたらそれがアデルだからなのかもしれない。
