気の重い目覚めであったが、身軽な訓練着に着替え外に出て軽い運動を終えた頃には、ルイの気持ちはすっきりと切り替わっていた。
「さてと、次は……」
ルイはピンと張った弦の調子を確認しながら、背中の矢筒から矢を取った。
音もなく矢をつがえ、軽やかな動作で両腕を持ち上げる。
慣れた様子で弦を引き、限界まで引き絞られた弦がキリキリと悲鳴を上げた。
雲の隙間から淡い朝日が零れだし、木々に生い茂る葉の露が照らされる。
弦を握っていた手を、ルイが離す。
風を切る音と同時に、走った矢がルイの視線の先にそびえた木に突き刺さった。
大木を揺らす力強い一射で、木の下に露の雨が振った。
