金色の師弟


ルイは仰向けに寝ていた身体を反転させ、顔を枕に押しつけた。
涙を吸い込み、枕は色を変えていく。

思い切り泣けば、気持ちが切り替わると思った。
淋しいのも、会いたいのも、紛れもない本心であったが、それが我儘でしかないことをわかっていた。
アデルは今、エルクのためにと多忙な毎日を送っている。
その話は、ノルンが直接ルイに教えてくれた。

『会いたいって愚痴を零していたわ』

そう言って、ノルンは柔らかく微笑んだ。
同じ気持ちなのだ。
不安を感じることはない。
ルイはルイの出来ることを頑張らねばならない。
そうしなければ、ルイは胸を張ってアデルに顔を向けられなくなる。

(私も、頑張りたい。……ううん、頑張る)

弱気になった心を奮い立たせ、ルイは顔を強く枕に沈ませた。
顔を上げる決意は出来た。
だが、今はもう少しだけ夢に見たアデルの影に触れていたかった。