重たい目蓋をゆっくりと持ち上げ、ルイはぼんやりとしていた意識を覚醒させてゆく。
夜更け前の部屋は薄暗く、小鳥のさえずりが朝の訪れを誘っていた。
汚れの交じった天井を、漠然とした瞳が捉えた。
あぁ、悪い夢だ。
ルイはわかっていながらも、絶望と失望を混ぜ合わせた喪失感に胸を痛めた。
重たい腕を持ち上げて、目元を隠す。
濡れた腕の感触に、自分が泣いていたことを知る。
「う……っ、あぁ……」
噛み締めた奥歯の間から、嗚咽が零れた。
自分が選んだ恋の道がこういうものだということは、わかっていたはずなのに。
弱くて脆い自分が、嫌い。
(強く、なりたい)
アデルが安心して背中を任せられる。
そんな自分に、なりたい。
留まる所など知らずに流れ続ける涙を拭うことなどせず、ルイは声を殺して涙を流し続けた。
無理に止められるものでないなら、泣いて、泣いて、泣き続けて、枯らせてしまえばいい。
