金色の師弟


動かない身体で、ルイはアデルを見上げた。
鋭い金色の瞳も、整った顔立ちも、皮肉めいた微笑も、全て覚えている。
夢の中のアデルは、ルイの記憶と寸分違わず出来ている。

(どうしてそんなに哀しそうに笑うの?)

そんな笑顔、見たくない。
アデルに弱気は似合わない。

(……あぁ、違う)

弱気になっているのは、アデルではない。
アデルの表情は、そのままルイの表情なのだ。
不安なのは、ルイ。
アデルの気持ちを信じているのに、距離がルイの心を蝕む。

二ヵ月も会えない日々を過ごせば、誰でも不安になるだろう。
覚悟した上での恋だった。
アデルの気持ちが自分に向けられていることで、十分だった。

(夢の中なら、泣いてもいいの……?)

ルイの頬が、涙に濡れる。
愛されたことを知って、十分だと思っていた。
離れた時間が増えれば増える程、物足りなくなっていく。
会いたい。
その思いが募っていく。