ライラは眉をしかめ、溜め息に似た声を吐き出した。
「ドルネアの軍事力は、驚異的だ。大河を挟んでいても、東と北から攻められては一溜まりもない」
「……あぁ、そうだね」
「シェーダと組んでも、苦戦は目に見えている」
イアンは頷かず、沈黙で答えた。
元々はドルネアに対抗するために生まれた同盟。
そして、テルーベ大河に守られていた。
だが、同じ岸にあるデモンドと手を組まれたら、どうなるかはわからない。
それでも、イアンは国を守るために全力を尽くさねばならないのだ。
決意に握り締められた拳に、ライラは微かに瞳を陰らせた。
一つ目の推測ならば、ある意味では来たるべき時が来たということになる。
ライラが危惧しているのは、二つ目の可能性であった。
そして、これを口にすることは、イアンへと剣を向けることと等しい苦しみを味わうことと等しい。
