「連絡は速いほうがいい。すぐにでも使いをだすべきだ」
「あぁ、そうだね」
感情の乗らない淡々とした口調は、この場ではイアンの激昂を抑制する効果があった。
イアンは口元に緩く弧を描き、同盟国の頼りになる親友を思い浮べた。
例え他国が侵略してこようと、二人なら負けないと純粋に信じられる。
特にエルクは、王位に就いてからの期間はイアンよりも長い。
いざというときに、彼の経験と手腕はイアンよりも役に立つのだ。
「それと、これは推測だが」
ライラは深緑の瞳で、きつくイアンを見据えた。
「おそらく、敵はデモンドだけではない」
イアンの瞳が、驚きに見開かれた。
言葉を失うのも無理はないと、ライラは目を伏せた。
本当に、これは些細な推測でしかないのだ。
ライラがそう感じた理由は、隠すつもりのない軍備拡張に増税。
ばれても構わないという姿勢が感じられる。
単純にデモンドの王がずぼらな人間であるならば問題ではないのだが、ライラにはまるでこちらの警戒を誘うような動きに感じられた。
