お互いに言葉が見つからず、恥ずかしさに息が詰まる沈黙に包まれた。
アデルはトレーをベッドの端に置くと、何も言わずにルイの手の上に自分の手を重ねた。
眉間にしわを寄せ、辛そうに重なる手を見つめるアデルの表情に、ルイは胸が締め付けられる。
「わ、私、嫌じゃなかったです」
二人の距離に対して、ルイの声は大き過ぎた。
いきなり声をあげられ、アデルはきょとんとルイを見上げる。
驚いたアデルの視線に、ルイは恥ずかしくなり目を逸らす。
それでも、言葉は伝える。
「痛かった……というか、今も痛いんですけど、嫌ではなかったんです。だから……」
ルイは自分の手に重なるアデルの手を取り、両手で包み込んだ。
「……だから、そんな後悔したような顔はしないで……」
嫌ではなかったことを、わかっていてほしい。
ルイは顔を真っ赤にしながら、精一杯に声を振り絞る。
「好きな人が相手で、嫌なわけないです……」
好きだから、嫌ではなかった。
それはルイの偽らざる本心。
余りにも直球な言葉に、アデルは胸を打たれる。
アデルの真剣な瞳を向けられ、ルイの心臓は破裂寸前だ。
