布団の中でぼんやりとしていたルイが睡魔に襲われかけたとき、扉が二回叩かれた。
「入るぞ」
低くて穏やかな声と共に、ドアノブが回される。
扉が開いて、中に入ってくるアデルと、美味しそうな朝食の匂い。
焼けたベーコンと、溶けたバターの香りを肺いっぱいに吸い込み、ルイは身体を起こした。
「……どうした?大丈夫か?」
横になっていたルイを見て、アデルはトレーを手にしたままベッドへと駆け寄った。
ルイを気遣うように、しゃがんで視線を合わせると、アデルはルイが自身の腹を押さえていることに気付く。
途端に、バツが悪そうに頭を掻いた。
「あぁ……」
ルイが横たわっていた理由を察したアデル。
察せられてしまい、ルイは気恥ずかしさで俯いた。
